許可要件1:保税許可がもらえないケースとは(欠格条項)

税関長から保税の許可をもらうためには関税法に定められた条件を満たす必要がありますが、条件の中には「このような場合は許可しない」というものがあります。関税法第43条には「税関長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、前条第一項の許可(補注:保税蔵置場の許可のこと)をしないことができる。」と規定されており、資格を欠くケースのリストアップということで「欠格条項」と呼ばれます。

まず挙げられるのが、(1) 保税の許可取消から3年未満、(2) 関税法違反処分から3年未満、(3) 禁錮以上の刑から2年未満、(4) 暴力行為等の違反の刑から2年未満といった法令違反後の一定期間内の場合、そして暴力団のフロント企業、暴力団員や(1)から(4)の法令違反を犯した者が役員や主要従業者にいるケースです(関税法第43条第1項~第7項)。

これら法令違反や暴力団関連の事情が心配な場合には、規定されたケースに該当するかどうか慎重に確認する必要があります。そして該当する事情があるうちは、保税の許可を受けることは無理だと判断すべきです。しかし、通常はそのようなケースには当たらないと思いますので、ここではこれ以上、深入りしないことにします。

許可申請をする段階では、こうした欠格条項に該当しないことが確認できる書類を税関に提出することになります。

なお、欠格条項の期間に当たる場合は、期間の経過、いわゆる喪が明けるのを待って保税の許可を受けるわけですが、その場合も少なくとも許可取得に向けた意向があることや許可申請に向けた準備をいつどのように進めればよいのかは管轄税関の担当窓口に相談しておくことをお勧めします。税関としてもやはりいわくつきの申請処理には慎重になるものですので、あらかじめの情報提供は重要なことです。

(許可要件に問題ないことが明確で、迅速な許可の必要性が高いなど)状況次第ではありますが、欠格条項に該当する期間内に許可申請を受け付け、期間経過後ただちに許可を受ける可能性もゼロではありません。

みんと。さんによる写真ACからの写真